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Hizuru Pilgrimによる徒然なるブログ。
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紗繭さんの『Lethal dosage // 滲音かこい 雪歌ユフ』のマスタリングを担当させていただきました!

この曲のマスタリングではM/S処理を使って、空間を広げる方向で調整してみました。M/S処理というのは、ステレオの音声ファイル(通常LRの2ch)をMid(中央)Side(外側)の2chに変換し、それぞれのチャンネルを個別に調整するものです。元々はMSマトリクス方式と呼ばれる、Midを捉える単指向性マイクと、Sideを捉える双指向性マイクを使ったレコーディング方法から来ているそうで、この方式で録音された素材をシミュレートするのが、このM/S処理です。僕自身もまだまだ勉強中の身ではありますが、今回の作業を通して感じたM/S処理におけるメリット、デメリットについてちょっとだけお話させていただこうと思います。

LRのステレオファイルをM/Sに分割する方法については、コチラのサイトが詳しいのでご参照下さい。

M/S処理におけるメリット
①Midに比べると音量が小さく、容量にも余裕のあるSideを持ち上げる事で簡単に音圧が上がる。(フェーダーで上げても、リミッターやマキシマイザーを使っても良い。)
②リバーブ成分の多いSideを単独で扱う事が出来るので、空間の大きさをフレキシブルに調整できる。
③Sideを上げる事でセンターに位置するボーカル、ドラム等の残響も上がり、ステレオ感が強くなる。(リバーブとは一味違った、ルームアンビエンスを上げたような効果がある)
④MidとSideに個別のエフェクトをかける事が出来る。Sideに流れた不必要な低音域はバッサリとカット。EQ・コンプでMidにパンチを効かせる。等

今回の曲では特に②・③のメリットが大きく作用したように思います。空間が広がり、ステレオ感が強くなる事で、幻想的で儚い雰囲気をより強める事が出来たんじゃないでしょうか。

M/S処理におけるデメリット
①Sideを上げていくと、Midが下がりボーカル、ドラムが奥に行ってしまう。(相対的にボリュームが下がるだけでなく、ステレオ感が強くなることで音の芯が無くなってゆく。)
②リズムのグルーブが変わる。(リバーブ成分が持ち上がり残響が長くなるためと、①によってドラムのパワー感が減る。)
③極端な調整をすると定位が曖昧になる。意図した定位から大きく外れてしまう。

今回の曲のように①が、あまりデメリットにならないアレンジならまだ良いのですが、パワフルなロック等で、音圧を上げたいがためにSideを上げていくと、ビート感が犠牲になってしまう上に、ボーカルが引っ込んでしまいます。やり過ぎ注意!

※中田ヤスタカさんも積極的に採用しているというM/S処理ですが、氏の手掛けるPerfumeやCAPSULEの曲では音圧高くステレオ感も強くありながら、ビートが犠牲になっている、という事は全くないように感じます。この辺りはやり方次第なのでしょうか!?要研究ですね!

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2014年すっかり明けてますよ、おめでとうございました。本年もどうぞよろしくお願い致します!さて、昨年末にアップしました2013年投稿のボカロ曲の中から一万マイリス越えの楽曲を分析してみたに続きまして、今回は対象となった139曲そのサウンド面に迫ってみたいと思います。前回の数値ベースの分析に比べると、サウンドに関しては数値では測れない部分がありますので、どうしても筆者の主観と偏見が入ってきてしまいます。なるべく客観性を保って分析を進めていきたいと思いますが、その点をあらかじめご了承下さいませm(_ _)m

まずは、ジャンルから見ていきましょう。
注釈:ジャンルの分類には、様々な視点、方法論があり、この統計は筆者の知識と感覚に委ねる部分が多々あります。今回の分析の中でも一番曖昧な部分になりますので、ご参考までに留めて頂ければと思います。

特にロック、ポップ・ロック、ポップスの三つの項目に関しては、具体的な相違点が挙げにくく、使用音色やリズム、コード進行やミックス等から総合的に判断しています。具体例を挙げると、じんさんのロスタイムメモリーをロック、スズムさんの世界寿命と最後の一日をポップ・ロック、40mPの純情スカートをポップスと判断しました。この三項目に共通する要素としては生音系の音色を主体としたバンドサウンドであることです。

クラブミュージックの項目には、808系のキックを主体としたいわゆる四つ打ちや、ブレイクビーツ等のエレクトロニックビートを主体とするサウンドを分類しています。テクノ・ハウス・エレクトロ・ドラムンベース等がここに含まれます。:注釈ココマデ


かねがね言われている事ですが、やはりボカロック路線の人気は磐石。ロックに分類したものだけでも60本、ポップ・ロックまで含めれば81本と、全体の60パーセント越えという圧倒的な数字です。クラブミュージック系の楽曲も頑張っていますが、この中にハウスからドラムンベースまで、様々なビート、BPMのクラブサウンドを含んでいますので、決して多いとは言えないと感じます。また前回の分析でも少し触れましたが、バラード系の楽曲が思いのほか多くありました。これらの分類はBPM90前後でビートが際立たないもの、としていますが、アレンジの傾向としてはロックバラードからエレクトロニカ的な手法を含んだものまで様々です。

次に使用されている音色を見ていきましょう。まずは全ての楽曲で使用が確認できた、ベースとドラムスのサウンドから。
ベースはエレクトリックベース、ドラムスはアコースティックドラムが人気です。ベースは生演奏から、打ち込みによるピッキング、スラップ、フィンガーピッキングのシミュレートまで幅広く、特定の音源への偏りは無いように思いますが、ドラムに関してはレコーディングの難しさ、煩雑さからか、アコースティック・ドラムのシミュレート音源(Addictive DrumsやBFD、Superior Drummer等)と思われるサウンドが目立ちました。上の図を見ると、今回たまたまエレクトリックベースとアコースティックドラム、シンセベースとエレクトロニックビートの使用数が、それぞれ近い数字になっていますが、エレベにエレクトロビート、アコドラにシンベといった組み合わせもチラホラあり、Pの意向や曲調に応じて柔軟な組み合わせが試されています。(それでもエレベにアコドラの組み合わせが一番多いのが実状ですが)

続いて、非常に使用率の高かったギターの内訳が以下。
まず驚いたのがギターを全く使っていない楽曲は全体の10%、139曲中14曲のみだった事。そしてディスト―ションギターの使用率が、アコギ、クリーンとの併用まで含めると75%、139曲中105曲にも及ぶ事です。この105曲全ての楽曲がディスト―ションギター主体のサウンドという訳ではありませんが、(ジャズの中でバッキングに使われたり、クラブ系の曲で部分的に使われたりといった、裏方的な使われ方も多いです)ジャンルを越えて、これだけ高い割合でディスト―ションギターが採用されている事は、ボカロシーンの一つの特色と言えそうです。ギターは比較的、打ち込みでのシミュレーションが難しく、ご自身で実際に弾かれているPさんや、弾いてみたのプレイヤーとのコラボもチラホラ見受けられました。とは言え、そうそう身近に弾ける人がいるPさんばかりではないでしょうから、ELECTRI6ITYやREAL GUITAR 3といったギター専用音源も多々使用されているものと思われます。

対象となった139曲を聴いていて、他に耳に残った音色としては、まずピアノ。これは61曲での使用が確認出来ました。ジャズやポップス、バラード等のメイン伴奏としてだけでなく、ギター・ベース・ドラムのストレートなロックサウンドに、プラスワンとして、カウンターメロディやオブリガートを担当する場面も多々あり、ジャンルを越えて採用されている音色の一つです。

次いで、シンセのパルス波やサイン派、もしくはそれに近い音色を使った、チープでレトロないわゆるピコピコサウンドも数多く聴く事が出来、139曲中57曲で使われていました。これはカウンターメロディやオブリガート、アルペジオ、ブレイク部分等で聴く事が出来ます。個人的には、この手の音がボーダーレスに様々なジャンルで使われていた事が、今回の分析で一番驚いた点でした。エレクトロ等ではお馴染の音色ですが、ロック等にも積極的に採用されいるのは、ボカロシーン独特のものではないでしょうか。

以上の事から①バンドサウンドが支持される傾向にあり、クラブサウンドの中にもそれらの要素を取り込んだものが見受けられる。(ギターの使用率が9割に上り、ディスト―ションギター・エレクトリックベース・アコースティックドラムといったバンドサウンドを特徴づける楽器が全体の75%の楽曲で使用されている。)②ピアノやピコピコサウンドは40%程の楽曲で使用されており、ギター・エレベ・アコドラに次ぐ人気。シンプルなバンドサウンドに、これらの音色を追加した編成も多くみられました。補足として、ピアノやピコピコ程の使用率はありませんが、イントロ部分、間奏などでシンセによるリードメロディ、サビ部等でバックグラウンドを埋めるストリングスやオルガンの音色、ブラスによるカウンターやオブリ等もよく聴かれました。


年の瀬らしく、2013年のボカロムーブメントがどんな傾向にあったのか、どんな曲が人気だったのか、今年投稿され一万マイリスを越えた人気楽曲139曲(2013/12/29時点、リメイク・リミックス・カバーは除外)を材料に分析してみました。ボカロPの皆様には制作のご参考に、リスナーの皆様は( ´_ゝ`) フーンと眺めていただければ幸いです。それでは早速、"VOCALOID"タグを"マイリスト数が多い順"でソートし、その中から2013年投稿楽曲を抽出したものが下の画像になります。これを元に、①使用されているボカロ ②プレイタイム(動画の尺) ③BPM(テンポ) ④動画の有無を見ていきましょう。
ということで、①使用されているボカロをまとめたものがコチラ!やはりミクさん、次いでGUMIさんが圧倒的人気です。IAさんも頑張っていますが15曲中7曲がじんさんの曲という事で、じんさん効果が大きそう。リンレンは二人合わせると22曲になるので、単体ソフトとしての人気はIAさんより上と言えそうです。(ボカロ4名以上の楽曲は、個別の人気、という視点からはやや外れるものと考え、除外しています。ご了承ください。)
次に②プレイタイム(縦軸が楽曲数、横軸が10秒毎にまとめたプレイタイム)ですが、3:20~4:30台に集中し、3:30~3:40台が特に多くなっています。リスナーの集中力がもつのは3分半、というのは音楽業界では実は有名な話でして、それ位の尺がポップスでは理想とされています。売れっ子ボカロPさん達も、3分半前後のプレイタイムを意識して制作されている方が多く、またリスナーさんにも支持されている、という事ではないでしょうか。(プレイタイムが1:36と極端に短いさつきがてんこもりさんの【ミク&レン】とんとんまーえ!【オネショタ】は例外として除外しています。)
続いて③BPM(テンポ)の分布図が以下です。(縦軸が楽曲数、横軸が10毎にまとめたBPM。Tap BPMを使ってタップテンポで測っているので多少誤差があると思います)120~140と170~190に山があり、特に180台が多くなっています。少々、僕自身の主観が入ってしまいますが、これは16ビートの楽曲が120~140台に集中し、8ビートの楽曲が170~190台に集中したためだと考えます。それぞれのビートにおいて、ボカロ曲は全般にテンポが速い傾向にあると感じました。また意外だったのは80~90台という低速域に小さな山があります。これはバラード的な曲が作っている山で、アップテンポな曲ばかりではなく、ゆったりと聴かせる楽曲も根強い人気があると感じました。
さて④動画の有無ですが、これは○アニメーションやそれに近いもの、△一枚絵をカメラワーク等で見せるもの、×静止画のみ、で分けてみました。結果は139曲中○111曲△9曲×19曲となっており、やはり人気曲にはアニメーションが欠かせないものになってきているようです。DECO*27さんや40mPのような有名ボカロPにも静止画的な楽曲があったのはちょっと意外でしたが。


SEGA様よりリリースされております、アーケードゲーム"Project DIVA Arcade"の第4回楽曲募集に、拙作2曲でエントリーしました。一曲はボーカロイドを使って初めて作った『Between the Sheets』を、これを機会にリメイクしたもの。もう一曲は昨年から温めていた『近未来ノスタルジー』を、募集規定に合わせ制作した新曲です。どちらもアップリフティングなドラムンベースではありますが、2曲とも全く雰囲気の異なった楽曲に仕上がっておりますので、是非とも両方チェックしてみて下さい!


ロッキン&サイバーなドラムンベースから好きな曲を繋いでみました。ビックリするほど有名所ばかりになってしまった…。アンセム満載でお届けって事で!


00:00 Sub Focus - Rock It
03:20 DJ Fresh - Nervous
06:38 Pendulum - Slam
08:50 Chase & Status - Pieces
11:58 DJ Fresh & Sigma - Lassitude
15:38 Pendulum - Propane Nightmares
19:19 The Qemists - Stompbox
22:37 The Qemists - Hurt Less
27:02 Xilent - Do It
29:58 Monsta - Holdin' On (Skrillex & Nero Remix)

Total Time 00:33:34



概ねリリース年代順に並べてみましたが、やはりロックテイストなドラムンベースの先駆けとなりシーンを牽引したのは、DJ Freshの率いるレーベルBreakbeat Kaosと、Sub Focusやhase & Statusを擁するRam Recordsだと思われます。その後Breakbeat Kaos出身のPendulumがメジャーレーベルであるワーナーと契約、2008年にリリースされた2ndアルバム『In Silico』のヒットにより、この手のサウンドは世界中でポピュラーなものになりました。現在はPendulumの事実上の活動停止と、The Qemistsの3rdアルバムが待たれる中で、シーンに若干の停滞が見られますが、Hadouken!の新譜『Every Weekend』にドラムンベースの曲が収録されたり、ミックスに収録したラスト2曲のように、EDM・ダブステップサイドからのアプローチも見られ、新たな局面を感じさせる展開になっています!
プロフィール
HN:
Hizuru Pilgrim
性別:
男性
自己紹介:
09年インディーズレーベル"What a Wonderful World"を立ち上げ、同名のコンセプトアルバムをリリース。トラックメイキングの傍らドラムンベースDJも少々。

現在はmirgliP名義でのボカロ曲投稿を中心に活動中!これまでの投稿動画はコチラ

twitter : @mirgliPilgrim
Mail : pilgrim_breaks@hotmail.co.jp


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